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#01:マツについてのまじめな情報

私達の生活と心に、なくてはならない日本の風景

マツは他のスギやヒノキなどの建築用材に比べ、強度があって粘り強く密度が高いのが特徴です。めり込みにくく、潰れにくい。つまり、傷つきにくくすり減りにくいため、木造建築では屋根からの重さを支える梁・桁などの横架材として利用されます。

また、木材は乾燥させるとねじれます。特にマツはねじれの度合いが大きく、一度ねじれると元に戻らない性質のため、十分乾燥させてから使用することが大切です。近年の住宅建築に求められる施工期間の短縮/高気密性に応えるには、短期間の納期で規定の含水率に仕上げる人工乾燥技術が必要です。

学術的特徴

マツ【松/まつ/Matsu】

針葉樹/マツ科マツ属
学名:Pinus/英名:Pine
総称:アカマツ、クロマツ
多くは高木となる。雌雄同株。葉は針形で二本・三本または五本束生。球果は「松かさ」と呼ばれる。建材・器具材・パルプ、薪炭、盆栽・庭木など用途は広い。

※トドマツ(モミ属)、エゾマツ(ハリモミ属)、カラマツ(カラマツ属)、ベイマツ(トガサワラ属)

マツの性質
  • 脂(ヤニ)が出る
  • ヒノキやスギにくらべて匂いが無い
  • 陽光を好む
  • 細根に大気中の窒素を固定したり、土壌のリン酸を植物が利用できるかたちに変える働きを持つ糸状菌(菌根菌)と有機物を与えることで共存する
  • 乾燥した痩せ地によく育つ
  • 直根を土中深く伸ばす

物理的特徴

木材は樹種によって性質が大きく異なります。同じ樹種でも生まれも育ちも違えば、強度も違い、ひとつの樹幹の中であっても場所によって強度は違ってきます。木は生き物ですので個性があるのは当たり前ですので、それぞれの個性を活かして使うことが大切です。

マツの大きな特徴は比重の高さです。比重が大きいものほど強度に優れ、たわみにくいのですが、木材実質が多い分だけその伸縮も大きくなって狂いやすくなります。

また、比重の大きいものは熱伝導率が高い(熱を奪いやすい)ので触った時に堅く冷たく感じますが、比重の小さい(熱を奪いにくい)スギなどは温かみを感じます。

主用木材の性質一覧
樹種 気乾比重 平均収縮率 % 強さ kg/㎤ 曲げヤング率
10kg/㎤
板目面かたさ くぎ引抜抵抗 接着性 塗装性 耐久性 熱伝導度
柾目方向 板目方向 曲げ 圧縮 せん段 耐朽 耐摩耗性
国産針葉樹 アカマツ 0.53 0.16 0.29 900 450 100 115 II II B B III 0.095
カラマツ 0.53 0.14 0.31 850 450 80 105 II III B C III 0.091
ヒノキ 0.41 0.12 0.23 750 400 75 90 II I A A V 0.082
スギ 0.38 0.10 0.26 660 340 80 80 I I A B IV 0.075
国産広葉樹 ケヤキ 0.62 0.16 0.27 1010 475 130 120 III V B A II 0.123
北米材 ベイマツ 0.55 0.14 0.23 780 420 80 130 II III A C III
北洋材 オウシュウ
アカマツ
0.47 0.14 0.31 650 290 80 85 II A A III
エゾマツ 0.46 0.18 0.36 695 310 80 95 II II A B 極小 IV 0.081
級区分 板目面かたさ(kgf/mm2) くぎ引抜抵抗 耐摩耗性
I   ~ 0.8 0.010 ~ 0.020
II 0.9 ~ 1.5 比較的小 0.021 ~ 0.032
III 1.6 ~ 2.5 0.033 ~ 0.053
IV 2.6 ~ 3.8 比較的大 0.054 ~ 0.080
V 3.9 ~ 0.081 ~ 0.120
級区分 接着性 塗装性
A 良い 良い
B 普通 普通
C 悪い 悪い
  • 気乾比重は含水率15%の時の単位面積辺りの重さ。比重の高いアカマツ、カラマツは強度が要求される梁などに使うのが適している。
  • 平均収縮率は含水率が1%変化したときに寸法が何%変化するかを示す。比重の大きいものほど、強度・収縮率・熱伝導率が高いことが分かる。
  • 強さは、繊維に平行方向の曲げ強さ、縦方向の圧縮強さ、せん断強さを表記。

参考/抜粋:有馬孝礼著「循環型社会と木材」、農林省林業試験場木材部編 「日本の木材」日本木材加工技術協会1996、「木の家」プロジェクト編『木の家に住むことを勉強する本』

文化的特徴

古来、日本では、神のよる神聖な木、節操・長寿を象徴する木と尊ばれています。門松の風習があり、また松竹梅の筆頭とされています。古事記、万葉集、枕草子、源氏物語などの中で、松についての歌が多数詠まれ、当時の絵図の中にも松が多数描写されています。

マツの呼び名
〔マツ〕
五大夫、十八公、木公、貞木、偃蓋山、木長官、枯竜、千歳材、歳寒枝、青士、節士、丈夫、清友、桓友、叢木、支離叟、青髯叟、木中仙、寿鬣、涼繖樹、宗老、鮓子南、不臣木、虻枝、髯御史、赤葛御孫、葉桓盛、ひさきぐさ、ときわぐさ、ひさまぐさ、くもりぐさ、とわれぐさ、ねざめぐさ、ときみぐさ、ちよみぐさ、いくさぐさ、ひさみぐさ、いろなしぐさ、おきなぐさ、はつよぐさ、ときよぐさ、ちえぐさ、ちよき、ととちよさ、とかえりぐさ、たむけぐさ、めざましぐさ、ことひきぐさ、みやこぐさ、ももくさ、はつみぐさ、とよちよぐさ、えんぎぐさ、とわれぐさ、ものみぐさ、をりみぐさ…

〔アカマツ〕
マツ、メマツ、メンマツ、ヨナゴマツ、ヲンナマツ、アカメマツ、アカホマツ、フタバマツ、ノラマツ、青松、アカマツ、ドヨウマツ、ヤニカキマツ、アガマツ、ヂマツ、ナイチマツ、陸松、ことひきぐさ、鈴くれぐさ、あさみぐさ…

〔クロマツ〕
クロマツ、マツ、オマツ、オンナマツ、オトコマツ、シロマツ、シロホマツ、シロホイ、シラホ、イソマツ、ハママツ、ギンミドリ、ソナレマツ、海風松、陽松、イマツ、ノトマツ、ヒメクロマツ、オニコ、オニマツ、マテ、雄松、白目松、白穂松、黒皮刺松…

引用:上原敬二著『樹木大図説 一』

十八公
三国時代の呉の梓丁固が、松が腹の上に生えてきた夢をみて十八年後に三公の位にのぼった故事から
五大夫
始皇帝が泰山にのぼったとき、風雨におそわれ松樹の下で休み雨をさけた。 これをもって始皇帝は松を封じて五位の官(五大夫の位)を授けたという故事から

参考:有岡利幸著『日本人と松』/新建新聞社出版部『日本の原点シリーズ 木の文化3 松 』/三省堂『大辞林 第二版』

マツの花言葉

不老長寿、勇敢

投稿日時:2015年7月22日 6:22 PM

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