マツは他のスギやヒノキなどの建築用材に比べ、強度があって粘り強く密度が高いのが特徴です。めり込みにくく、潰れにくい。つまり、傷つきにくくすり減りにくいため、木造建築では屋根からの重さを支える梁・桁などの横架材として利用されます。
また、木材は乾燥させるとねじれます。特にマツはねじれの度合いが大きく、一度ねじれると元に戻らない性質のため、十分乾燥させてから使用することが大切です。近年の住宅建築に求められる施工期間の短縮/高気密性に応えるには、短期間の納期で規定の含水率に仕上げる人工乾燥技術が必要です。
マツ【松/まつ/Matsu】
針葉樹/マツ科マツ属
学名:Pinus/英名:Pine
総称:アカマツ、クロマツ
多くは高木となる。雌雄同株。葉は針形で二本・三本または五本束生。球果は「松かさ」と呼ばれる。建材・器具材・パルプ、薪炭、盆栽・庭木など用途は広い。
※トドマツ(モミ属)、エゾマツ(ハリモミ属)、カラマツ(カラマツ属)、ベイマツ(トガサワラ属)
木材は樹種によって性質が大きく異なります。同じ樹種でも生まれも育ちも違えば、強度も違い、ひとつの樹幹の中であっても場所によって強度は違ってきます。木は生き物ですので個性があるのは当たり前ですので、それぞれの個性を活かして使うことが大切です。
マツの大きな特徴は比重の高さです。比重が大きいものほど強度に優れ、たわみにくいのですが、木材実質が多い分だけその伸縮も大きくなって狂いやすくなります。
また、比重の大きいものは熱伝導率が高い(熱を奪いやすい)ので触った時に堅く冷たく感じますが、比重の小さい(熱を奪いにくい)スギなどは温かみを感じます。
樹種 | 気乾比重 | 平均収縮率 % | 強さ kg/㎤ | 曲げヤング率 10kg/㎤ |
板目面かたさ | くぎ引抜抵抗 | 接着性 | 塗装性 | 耐久性 | 熱伝導度 | |||||
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柾目方向 | 板目方向 | 曲げ | 圧縮 | せん段 | 耐朽 | 耐摩耗性 | |||||||||
国産針葉樹 | アカマツ | 0.53 | 0.16 | 0.29 | 900 | 450 | 100 | 115 | II | II | B | B | 小 | III | 0.095 |
カラマツ | 0.53 | 0.14 | 0.31 | 850 | 450 | 80 | 105 | II | III | B | C | 中 | III | 0.091 | |
ヒノキ | 0.41 | 0.12 | 0.23 | 750 | 400 | 75 | 90 | II | I | A | A | 大 | V | 0.082 | |
スギ | 0.38 | 0.10 | 0.26 | 660 | 340 | 80 | 80 | I | I | A | B | 中 | IV | 0.075 | |
国産広葉樹 | ケヤキ | 0.62 | 0.16 | 0.27 | 1010 | 475 | 130 | 120 | III | V | B | A | 大 | II | 0.123 |
北米材 | ベイマツ | 0.55 | 0.14 | 0.23 | 780 | 420 | 80 | 130 | II | III | A | C | 中 | III | |
北洋材 | オウシュウ アカマツ |
0.47 | 0.14 | 0.31 | 650 | 290 | 80 | 85 | II | A | A | 中 | III | ||
エゾマツ | 0.46 | 0.18 | 0.36 | 695 | 310 | 80 | 95 | II | II | A | B | 極小 | IV | 0.081 |
級区分 | 板目面かたさ(kgf/mm2) | くぎ引抜抵抗 | 耐摩耗性 |
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I | ~ 0.8 | 小 | 0.010 ~ 0.020 |
II | 0.9 ~ 1.5 | 比較的小 | 0.021 ~ 0.032 |
III | 1.6 ~ 2.5 | 中 | 0.033 ~ 0.053 |
IV | 2.6 ~ 3.8 | 比較的大 | 0.054 ~ 0.080 |
V | 3.9 ~ | 大 | 0.081 ~ 0.120 |
級区分 | 接着性 | 塗装性 |
---|---|---|
A | 良い | 良い |
B | 普通 | 普通 |
C | 悪い | 悪い |
参考/抜粋:有馬孝礼著「循環型社会と木材」、農林省林業試験場木材部編 「日本の木材」日本木材加工技術協会1996、「木の家」プロジェクト編『木の家に住むことを勉強する本』
古来、日本では、神のよる神聖な木、節操・長寿を象徴する木と尊ばれています。門松の風習があり、また松竹梅の筆頭とされています。古事記、万葉集、枕草子、源氏物語などの中で、松についての歌が多数詠まれ、当時の絵図の中にも松が多数描写されています。
引用:上原敬二著『樹木大図説 一』
参考:有岡利幸著『日本人と松』/新建新聞社出版部『日本の原点シリーズ 木の文化3 松 』/三省堂『大辞林 第二版』
不老長寿、勇敢
投稿日時:2015年7月22日 6:22 PM